失敗を責める組織から、挑戦を応援する組織へ
皆さん、こんにちは!
エデュケアライズグループ CSO、経営企画室長の山村です。
新しいことに挑戦すれば、すべてが思いどおりに進むとは限りません。十分に準備したつもりでも、期待した成果が出ないことがあります。新しい取り組みが現場に定着しなかったり、途中で計画を見直さなければならなかったりすることもあります。
しかし、失敗することを恐れて何もしなければ、組織は変化することができません。社会環境が大きく変化する中で、教育、福祉、介護、看護に求められる役割も変わり続けています。これまでと同じことを、これまでと同じ方法で続けるだけでは、地域の新しい課題に応えることはできません。
Educarealize Groupが目指しているのは、失敗した人を責める組織ではなく、挑戦する人を応援し、その経験を次の成長につなげられる組織です。
20代でもらったチャンスが、今の自分をつくっている
私自身、まだまだ若いつもりではありますが、20代の頃を振り返ると、前職で本当に多くのチャンスをいただきました。
経験が十分にあるわけでも、すべての仕事を完璧にこなせるわけでもない中で、セミナー講師を任せていただいたことがあります。また、社内外のさまざまなプロジェクトに参加する機会もいただきました。
もちろん、最初からうまくできたわけではありません。人前で話すことに緊張したこともありました。準備不足を反省したことや、自分の力不足を感じたこともあります。プロジェクトに参加しても、周囲についていくことに精いっぱいだった時期もありました。
それでも、任せてもらえたからこそ経験できたことがあります。
セミナー講師として、人に伝えるためには、自分自身が内容を深く理解しなければならないことを学びました。さまざまなプロジェクトに参加する中では、自分とは異なる立場や考え方を持つ人と協力する大切さを知りました。
また、仕事は一人で完結するものではなく、多くの人との関係性の中でつくられていくことも学びました。振り返ってみると、あのときにいただいた経験や出会いが、現在の仕事や経営にも確実につながっています。
- 新しい事業を考える力
- 人前で自分の考えを伝える力
- 立場や分野の異なる人と協力する力
- 難しい状況でも一歩を踏み出す力
これらは、若い頃から完成していたものではありません。挑戦する機会をいただき、失敗や反省を繰り返す中で、少しずつ身に付いていったものです。だからこそ、今度は私たちが、若い職員や新しいことに取り組もうとする職員に、チャンスを渡す側にならなければならないと考えています。
人は、準備が完全に整ってから成長するのではありません。少し背伸びをしなければ届かない仕事を任され、悩みながら取り組むことで成長していきます。
私自身がそうした機会をいただいたからこそ、Educarealize Groupでも、年齢や勤続年数だけで可能性を判断するのではなく、意欲のある人に挑戦の機会をつくりたいと思っています。
失敗を責める組織では、人も組織も育たない
失敗した職員が強く責められる組織では、次第に誰も新しいことを提案しなくなります。
- 「余計なことをしないほうがいい」
- 「前例どおりに進めたほうが安全だ」
- 「提案して責任を負うくらいなら、黙っていたほうがいい」
このような空気が広がると、職員は自分で考えることをやめ、指示されたことだけを行うようになります。しかし、現場には、現場で働く職員だからこそ気付ける課題があります。
- 利用者のちょっとした変化
- 子どもたちが夢中になれる活動
- 保護者や家族が抱えている困りごと
- 業務の無駄や非効率な部分
- 職員同士の連携で改善できること
- 地域にまだ足りていない支援
新しいサービスや業務改善のアイデアは、こうした日々の小さな気付きから生まれます。ところが、意見を言ったことで責められたり、失敗したときに一人で責任を負わされたりする環境では、その気付きが組織に共有されなくなります。
挑戦とは、新しい施設を開設したり、大規模なプロジェクトを立ち上げたりすることだけではありません。
- 利用者への声掛けを工夫する
- 新しい活動を企画する
- 記録の方法を見直す
- 会議の時間を短くする
- 保護者への説明資料を分かりやすくする
- 他の施設や部署に協力を求める
これらもすべて、組織をよりよくするための挑戦です。大きな変化は、現場で生まれる小さな改善の積み重ねから始まります。
そのため、経営者や管理職は、目立つ成果だけを見るのではなく、職員が日々行っている小さな工夫や挑戦にも目を向ける必要があります。
挑戦を応援することと、何でも認めることは違う
挑戦を応援する組織とは、すべての失敗を無条件に認める組織ではありません。利用者の安全や権利を軽視した行動、必要な確認や相談を怠った行動、同じ問題を振り返ることなく繰り返すことまで、挑戦として扱うことはできません。
大切なのは、誠実に準備し、必要な相談や確認を行ったうえで挑戦した結果の失敗と、無責任な行動を区別することです。新しいことに取り組むときには、
- 「何のために行うのか」
- 「利用者や地域にどのような価値があるのか」
- 「どのようなリスクが考えられるのか」
- 「誰に相談し、どのように進捗を共有するのか」
- 「実施後に何を振り返るのか」
といったことを整理する必要があります。こうした基本的なプロセスを踏んだ挑戦であれば、期待した成果が出なかったとしても、そこには必ず学びがあります。
また、最初から完璧な計画を求めすぎないことも重要です。
- 一つの施設で試してみる
- 少人数を対象に実施する
- 期間を限定して取り組む
- 費用を抑えた方法から始める
- 実施後に利用者や職員の意見を聞く
このように小さく始めれば、失敗したときの影響を抑えながら、実際の課題を確認できます。うまくいけば、別の施設や事業にも広げることができます。うまくいかなければ、原因を分析し、方法を変えて再び試せばよいのです。
挑戦を応援することと、管理をしないことは同じではありません。適切なルールと支援があるからこそ、職員は安心して新しい一歩を踏み出すことができます。
管理職の役割は、挑戦を止めることではなく支えること
職員が新しい提案をしたとき、管理職が最初にどのような反応をするかによって、組織の空気は大きく変わります。
- 「前例がない」
- 「難しいと思う」
- 「何かあったらどうするのか」
- 「忙しいから今はできない」
最初からこのように否定されてしまうと、職員は次第に提案することをやめてしまいます。もちろん、すべての提案をそのまま実行できるわけではありません。
予算、人員、安全性、制度、優先順位などを考えれば、すぐには取り組めないこともあります。それでも、まずは職員の考えを聞くことができます。
- 「なぜ、それをやりたいと思ったのか」
- 「どのような課題を感じているのか」
- 「利用者にどのようなメリットがあるのか」
- 「小さく試す方法はないか」
- 「実施するために何が必要か」
管理職の役割は、提案に対して「できる」「できない」と判定するだけではありません。職員のアイデアを整理し、実現できる形に変え、必要な人や部署につなぐことです。また、挑戦を提案した職員一人に、すべてを背負わせてはいけません。
準備、関係者との調整、実施、報告までを一人で行わせれば、大きな負担になります。
- 他部署との調整を管理職が支援する
- 経験のある職員が伴走する
- 定期的に進捗を確認する
- 相談できる場をつくる
- 必要な時間や予算を確保する
こうした支援があって初めて、職員は安心して挑戦できます。結果だけでなく、挑戦の過程を評価することも大切です。
- 課題に気付いたこと
- 自分から提案したこと
- 関係者に相談したこと
- 周囲と協力して準備したこと
- 途中で問題を発見し、計画を修正したこと
- 結果を振り返り、次の改善案を考えたこと
たとえ目標をすべて達成できなかったとしても、こうした行動には価値があります。成功した人だけを評価する組織では、職員は失敗の可能性が低い仕事しか選ばなくなります。
難しい課題や前例のない仕事に挑戦する人を育てるためには、人事評価や面談、日々の声掛けを通じて、挑戦の姿勢と過程を認めることが必要です。
もらったチャンスを、次の世代へつないでいく
Educarealize Groupでは、幼児教育、保育、学童、障害福祉、介護、訪問看護、フリースクール、日本語教育など、さまざまな事業に取り組んでいます。多様な事業があるということは、それだけ多くの挑戦の機会があるということでもあります。
一つの施設で生まれた工夫が、別の事業の課題解決につながることがあります。
子どもへの支援で生まれたアイデアが、高齢者施設の活動に生かされるかもしれません。介護現場で進めた業務改善が、障害福祉や保育の記録業務にも応用できるかもしれません。一つの分野だけで働いていては得られない経験や出会いもあります。
職員には、自分が現在担当している業務だけにとらわれず、事業や施設の枠を越えたプロジェクトにも参加してほしいと考えています。
- 若手職員が研修の講師に挑戦する
- 新しい事業の立ち上げに参加する
- 施設を越えた改善プロジェクトを担当する
- 地域の企業や団体との連携を進める
- 社内で自分の実践や学びを発表する
こうした機会を増やすことが、職員の可能性を広げ、次の管理職や経営を担う人材を育てることにつながります。私自身、20代の頃に周囲の方々から多くの機会を与えていただきました。
その経験がなければ、現在の自分はなかったかもしれません。だからこそ、いただいたチャンスを自分の中だけで終わらせるのではなく、次の世代へとつないでいきたいと思っています。
- まだ経験が少ないから任せないのではなく、経験を積んでもらうために任せる
- 最初から完璧にできる人を探すのではなく、挑戦を通じて成長する人を支える
- 失敗したことだけを見るのではなく、そこから何を学び、次にどう生かすのかを一緒に考える
そのような組織でありたいと考えています。失敗を責めれば、その場では問題が収まったように見えるかもしれません。しかし、それだけでは人も組織も成長しません。大切なのは、失敗を終わりにするのではなく、次の改善の始まりにすることです。
Educarealize Groupは、挑戦した人が孤立せず、その経験が組織全体の学びとして蓄積される環境をつくります。職員一人ひとりが現場の課題に気付き、自分の考えを伝え、仲間とともに新しい方法を試す。そして、成功も失敗も共有しながら、よりよい教育、福祉、介護、看護、地域づくりへとつなげていく。
失敗を責める組織から、挑戦を応援する組織へ
私がいただいてきたチャンスを、今度は職員一人ひとりに渡していくこと。それが人を育て、組織を育て、地域の未来をつくることにつながると考えています。
